危険なキス
 
先生に突き放されたと思うだけで
どうしようもないほど胸が痛い。


やりきれない思いと、未完成な心。


涙の意味すらも分からない。


あたしは溢れてくる涙をなんとか止めようと、唇を強く噛んだ。



「!!」


その途端、廊下を誰かが走ってくる足音が聞こえた。

あたしは慌てて廊下に背を向け、再び窓へと顔を向ける。

相手が今度こそ麻衣子だと思い、涙をすぐに拭った。



「わりぃ!遅くなったっ……」

「………え…?」



だけど今度の相手も麻衣子じゃない。


息を切らして現れたのは
あたしが今日一日避けてた相手、楠木だった。
 
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