危険なキス
「じゃあ、俺は先帰るな」
楠木はあたしに背を向けて、ドアへと向かう。
あたしはその背中を見つめた。
(本当に両想いだったら、ちゃんと伝えるべきだよ)
麻衣子に言われた。
ずっと引っかかっていた存在から、背中を押された。
それならもう、正直になってもいいんじゃないの?
(もう…あなたもただの生徒ですから)
そうだよ……。
先生の存在だってもう関係ない。
先生もこれ以上あたしに、何かしてくることはないんだから……。
「……………好き、だよ…」
あたしは楠木の背中に向かって言った。