危険なキス
 
「どうしたの?」
「あのさ……やっぱ、予備校始まるまで、一緒いていい?
 勉強の邪魔はしねーからさっ」


たとえ一緒に残っていても、勉強することはやめられない。

だって受験まで、あと半年くらいしかないんだから。

それを分かっててもそう言ってくれる楠木に、あたしはくすりと微笑むと、


「うん」


と一言返した。


一緒に遊べなくても、こうやって一緒にいることを考えてくれる気持ちが嬉しかった。
だからこそ、恋に浮かれないように勉強に集中して、後悔しないようにしようと思った。


「じゃあ、教室で勉強しようかな」

「え?」

「図書室じゃ、本当に何も話せなくなっちゃうから」

「……おうっ」


あたしの言葉に、楠木は少しだけ顔を赤くしていた。
 
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