危険なキス
 
「やっぱ楠木はさ」
「え?」


顔をあげると、バチッと目が合う。

どうやら、問題はすぐに諦めたみたいで、またあたしの顔を見ていたようだ。


「……あんまり見ないで、って言ってんじゃん」
「や、ごめんっ。だってつい……」


顔を赤くして、慌てる楠木。
そんな姿を見ると、こっちまで照れてしまう。


「あ、で?なになに?」
「……楠木はやっぱり、うちの大学に行くんだよね?」
「うん、まぁ……。柊は当然のように他大だろ?」
「うん」


ずっと他大に行くつもりでいたから、今さらうちの大学に行くなんてことは考えられなかった。

というか、そんなこと言い出したら、お母さんがなんていうか。


「じゃあ、大学はバラバラになっちゃうね」
「う……ん……」


当然の結果を口に出すと、楠木は口ごもる。
明らかに顔に出てるし。


「寂しいんだ?」
「なっ、そんなんじゃっ……」


あえて聞いてみると、一気に顔が真っ赤になった。

なんか楠木からかうのっておもしろいかも。
 
< 241 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop