危険なキス
「やっぱ楠木はさ」
「え?」
顔をあげると、バチッと目が合う。
どうやら、問題はすぐに諦めたみたいで、またあたしの顔を見ていたようだ。
「……あんまり見ないで、って言ってんじゃん」
「や、ごめんっ。だってつい……」
顔を赤くして、慌てる楠木。
そんな姿を見ると、こっちまで照れてしまう。
「あ、で?なになに?」
「……楠木はやっぱり、うちの大学に行くんだよね?」
「うん、まぁ……。柊は当然のように他大だろ?」
「うん」
ずっと他大に行くつもりでいたから、今さらうちの大学に行くなんてことは考えられなかった。
というか、そんなこと言い出したら、お母さんがなんていうか。
「じゃあ、大学はバラバラになっちゃうね」
「う……ん……」
当然の結果を口に出すと、楠木は口ごもる。
明らかに顔に出てるし。
「寂しいんだ?」
「なっ、そんなんじゃっ……」
あえて聞いてみると、一気に顔が真っ赤になった。
なんか楠木からかうのっておもしろいかも。