危険なキス
 
「楠木……?」
「……」


楠木は、あたしの顔を見つめる。

その瞳は、いつものおちゃらけた雰囲気はなく、真剣にあたしを見据えるようだった。


少しだけ髪を引っ張られると、楠木が身を乗り出す。

近づいてくる顔。

唇……。


「紫乃……」


それに合わせて、あたしも目を閉じた。


だけど……




「……っ!!」




唇が、あと数センチのところであたしは後ずさってしまった。
 
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