危険なキス
「あ……えっと……」
「わっ、悪いっ」
楠木も我に返って、咄嗟に謝った。
違う。
謝るのはあたしのほうだ。
もう付き合ってるし
今はそういう雰囲気だったはずなのに……。
だけど……
「ご、めん。ちょっとお手洗い行ってくる」
あたしは逃げるように教室を出た。
キス…しようと思った。
楠木としたいと思ってたはずだった。
だけど目を閉じた瞬間
別の人の顔が思い浮かんでしまった。
いつも強引で
俺様で
一方的な……
先生のキスを……。
「なん…でぇ……」
あたしはあのキスを思い出して、その場にしゃがみ込んだ。