危険なキス
 
「えー、それはぁ……あとでのお楽しみ」
「へー?そんなに自分にハードルあげちゃうんだ?」


「…っ」


振り返った先にいたのは、
綺麗めな女の人と……


湯浅…先生だった。


先生の姿は、学校で見るような真面目な格好ではなく
あたしが初めて本性を知った時のような恰好。


メガネを外し、髪をワックスでちらつかせ、スーツは学校で見たものだけど軽く着崩している。


そう…。
素の湯浅奏人だ。


女の人は、湯浅先生の腕に絡みつき、猫なで声をあげている。

先生は相変わらず、人を試すような意地悪な目で、でもまんざらでもないようにほくそ笑んでいる。


「……」


あたしは、その場に足が凍り付いてしまったように動けなくなった。
 
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