危険なキス
 
そんなあたしを、先生は急にじっと見つめた。


「な、なんですか?」
「お前って、黙ってればかなりの美人だよな」
「何それっ……」
「だけど、クールになりすぎて、男寄ってこねぇんだろ」
「……」


いちいち図星を突かれて、腹が立つ。

自分が美人という自覚はあまりないけど、どうしても学校だと愛想を振りまけない。

時々、自分が麻衣子みたいになれたら…って思う。
だけど小さいころから勉強一筋で育ってきたあたしが、いくら多少の自由を手に入れたとしても、にこにこと笑顔を振りまけるわけがない。

だから、楠木みたいに仲のいい男子ができても、冷たい態度をとったり、可愛くないことばかり言ってしまうのだ。

 
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