危険なキス
 
「ど、どうして……って…」


紙を握りしめたまま、視線を泳がす。

うまい答えが見つからない。


そこに書いてあったのは、学校の資料でもなんでもない。



【金曜日、泣いたのはなんで?】



とだけ書かれていた。

先生はドアのほうへ行くと、パタンと閉める。
そしてご丁寧に鍵まで閉めてしまった。


「あの時、俺のこと見て泣いてただろ。
 なんで泣いたか言ってみ?」


じりじりと詰め寄ってくる先生。

あたしは思わず、後ずさってしまった。


「そ、れはっ……」


言えない。

まさか先生が、女の人とキスをしてたから泣いただなんて……。


そんなこと言ったら
あたしは先生のことが好き、と言っているようなものだ。
 
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