危険なキス
トンと背中に壁がぶつかった。
先生は左手をあたしの真横の壁に置くと、試すような目で顔を覗き込んだ。
「それは?」
「……っ」
至近距離にある、先生の整った顔。
こんなにも綺麗な顔だなんて卑怯だ。
あたしは、言ってしまいそうな言葉をなんとか抑えようと、唇を噛んだ。
そんなあたしに先生はニヤリと笑うと……
「お前、俺のことが好きなんだろ?」
いとも簡単に、言ってしまった。
「なっ、に言って……」
「顔にすげー書いてある。俺のことが好きって」
「なっ……」
思わず頬を両手で押さえる。
その姿を見て、先生はさらに笑った。