危険なキス
 
「ご、めんなさいっ……でもあたし……
 まだ楠木と別れてないっ」


どうしても、これだけはハッキリさせたかった。

このまま中途半端にしているまま、先生との一線を越えるわけにはいかなかった。


だけど先生は首をかしげると


「別に俺は、そんなの気にしねーけど」


と、のんきなことを言う。


「きっ、気にしてくださいっ……。
 このままじゃあたし、浮気になっちゃいますっ」

「もうキスはしてるからな」

「なっ……」


あくまでも、先生は意地悪だ。

これ以上言葉が見つからず、ただ睨んでいると、先生はようやく引き下がった。


「ったく……分かったよ。
 そんな言われたら、こっちも萎えた」


先生はため息をつくと、あたしから離れる。
あたしはすぐに、乱れた制服を元に戻した。
 
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