危険なキス
ここまで思われたら、たぶん嘘は通用しない。
楠木には、好きな人がいるということを認めたほうがいいと思った。
「……ごめんなさい…」
「それ、ってさ……もしかして、キスマークつけたやつ?」
「え?あ……」
一瞬、なんで知ってるの?と思ったけど、そういえば一度楠木に見られたことを思い出した。
確かそれで、楠木が暴走して、気持ちを聞いたんだ。
あたしはしばらく悩んだあと……
「…………うん」
出したか出していないか分からないくらいの小さい声で頷いた。
しばらく沈黙が続いた。
だけど突然、楠木は大きくため息を吐く。
「はぁ~………それじゃあ、しょうがねぇな……」
そして、そのまま机に突っ伏した。