危険なキス
「うん。じゃあ、納得。
あたしはあたしで拓也への恋を頑張るから、紫乃は紫乃で自分の恋愛頑張りな」
「麻衣子……」
ニコッと微笑む麻衣子に、あたしは感激して涙が溢れてきた。
本当に、自分はいい友達に恵まれたんだな、って実感できた。
「あの、さ……
それで一つ気になってたんだけど……」
麻衣子は少しためらいがちに訪ねてくる。
あたしは首を傾け、次の言葉を待った。
「その、気になる人ってもしかして……
湯浅先生……だったり?」
「!!」
黙っとくつもりだった。
だけど突然出たその名前に、思わず顔に出てしまう。
麻衣子も当然悟って、
「そっかー」
と、苦笑交じりで答えた。