危険なキス
 
その間にも、先生の右手はスカートの中に侵入していて、恥ずかしさのあまり我に返った。


「ま、まってくださっ……ほんとにっ……」


あたしはこのまま流されそうな自分を、どうにか引き留めて力を込めた。

先生は顔だけあげて、下から覗き込むようにあたしを見る。


「なんだよ?」
「あ、たし……先生の気持ち……聞きたい……」


どうしても、それだけは聞いてから、この続きをしたかった。

麻衣子に言われたからだけじゃない。
あたし自身、先生の気持ちを知らないまま、最後までしたくなんかない。


先生のこと、大好きだけど
それは決して、都合のいい女を望んでいるわけじゃないから……。


「嫌…なんです……。自分が、大勢の中の一人になるのとか……
 だから先生が、あたしをどう思っているのか聞きたいんです」


その言葉を聞いて動きが止まった。

そして……




「……帰れ」




一言そう言って、あたしから離れた。
 

< 296 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop