危険なキス
 
「さよ……ならっ……」


あたしは何も言い返せなくて、涙を堪えて部屋を出た。


どっちに行ったらいいのか分からない道。
行きは車で迎えにきてくれたから、駅までの道なんて分からない。


だけど今はとにかく、一刻も早く先生のもとから離れたくて足早に歩いた。


「はぁっ……はぁっ……」


参考書の入った鞄は重い。

慣れないミニスカートは歩きにくい。


「あっ……」


途中、つまずいてひざまずいてしまった。

その途端、零れ落ちる涙。


「……っく…」


自分に笑った。

勝手に盛り上がっていた恋。

最初から、最低男だって分かっていたはずなのに……



「あたしって、ほんとバカ……」



もうしばらくは
恋なんてやめよう……。
 

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