危険なキス
「どういうこと?お前、もしかして……」
楠木の次に言おうとしていることは分かる。
あたしの好きな人というのは、湯浅先生のことなのか、っていうこと。
だけど問題となっている掲示板の前には、溢れるほどの生徒が囲っていて、あたしの姿を凝視している。
「……っこんなの、何かの間違いだよっ!!」
あたしはこれ以上人の視線を受けたくなくて、掲示板に貼られている写真を引きはがすと、その場から駆け出した。
二人の写真は、朝一ではがしたものの、もう学校中の噂になっていた。
クラスに入っても、刺さる視線。
中には、聞こえるような嫌味を言ってくる女子もいる。
朝のホームルームが始まる時間近くになると、呼び出しがかかった。
《3年2組の柊紫乃さん。至急、校長室にお越しください》
あたしは唇を噛むと、みんなの視線を無視して、一人廊下へと出た。