危険なキス
 
おかしい…
あたし、間違って別のところに置いたっけ?


そう思って、周りを見てみたけど
この時間になれば、ほかの人はみんな帰っているようで、どの下駄箱にも靴なんて置いていなかった。


「……」


そして察した。

たぶんこれは、湯浅先生のことが好きな誰かにやられたものだと……。


「はぁ……」


やりきれないため息が出たが、さすがに上履きのまま予備校に行くわけにもいかないので、とりあえずダメ元で靴を探すことにした。

よくあるとすれば、ごみ箱とかに入っているはず。


そう思って、近くにあったゴミ箱を覗いてみた。
だけどそこには靴らしきものはない。


「ほんと最悪……」

「どうしたの?」


思わず口に出てしまったところで、突然誰かに声をかけられた。

誰もいないと思っていたので、その声に驚いて振り返る。

そこにいたのは……


「神田…先生っ……」


湯浅先生に次ぐ人気の、神田先生だった。
 
< 308 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop