危険なキス
おかしい…
あたし、間違って別のところに置いたっけ?
そう思って、周りを見てみたけど
この時間になれば、ほかの人はみんな帰っているようで、どの下駄箱にも靴なんて置いていなかった。
「……」
そして察した。
たぶんこれは、湯浅先生のことが好きな誰かにやられたものだと……。
「はぁ……」
やりきれないため息が出たが、さすがに上履きのまま予備校に行くわけにもいかないので、とりあえずダメ元で靴を探すことにした。
よくあるとすれば、ごみ箱とかに入っているはず。
そう思って、近くにあったゴミ箱を覗いてみた。
だけどそこには靴らしきものはない。
「ほんと最悪……」
「どうしたの?」
思わず口に出てしまったところで、突然誰かに声をかけられた。
誰もいないと思っていたので、その声に驚いて振り返る。
そこにいたのは……
「神田…先生っ……」
湯浅先生に次ぐ人気の、神田先生だった。