危険なキス
 
神田先生は、湯浅先生が来る前まで、圧倒的ナンバーワン人気の先生。

そして確か、湯浅先生とは大学時代からの友人であり、湯浅先生をこの学校に紹介したのも神田先生。
理事長の孫とかだった気が……。


みんなから大人気の先生だけど、担当の学年が違う神田先生とは、今まで話したことがなかった。


「あれれ。誰かと思えばお姫様じゃん」
「はい?」


突然出た「お姫様」発言。
思わず、一歩引いた。


「ああ、ごめんごめん。
 奏人のお姫様、ってことね」

「え……」


奏人……それは湯浅先生のこと。

意味深にそんなことを言う神田先生に、あたしは少し警戒しながら様子を見ていた。


「そんな警戒しないでよ。
 あ、先に言っておくけど、君と奏人のこと、結構知ってるよ」

「知ってるというのは……」

「んー……ただの教師と生徒じゃないってこと、かな」


これは、振りだろうか……。
それすらも思わせる、軽い発言。

あたしは肯定もせずに、ただじっと見返していた。
 
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