危険なキス
 
「おーおー、警戒されてる。
 ま、そんなに疑うなら、今度奏人に直接聞いてみるといいよ」

「……」


何も言わずにいると、神田先生はお手上げ、と言ったように苦笑して首をかしげた。


「で?こんな時間にこんなところで何してるの?」
「あ……えっと……図書室で勉強してました。それで……」
「それで?」
「……」


靴がなくなりました、と言うべきか悩んだ。

いじめられている、ということが恥ずかしいというよりは、わざわざ先生に言いつけるといったことが嫌だった。

何も言わずにいると、神田先生はそれを悟ったように……


「あー……確か今日、写真公開されちゃったもんね」
「……」


今朝、湯浅先生とあたしの写真のことに触れた。


「女子のひがみって、怖いよねー」


この人は、どこまで分かって言っているんだろうか……。
 
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