危険なキス
 
神田先生の印象は、一言でいえば軽い……。

湯浅先生の素とはまた違っていた。


「奏人にもちゃんと相談しときなよ。もともとの原因はあいつなんだから」
「いえ……迷惑、かけるだけですから……」
「迷惑とかないでしょ。彼女のことなんだから」
「え!?」


神田先生のありえない言葉に、つい目を丸くして顔をあげた。


「か、彼女なんかじゃないですっ」

「え?そうなの?」


慌てて否定すると、今度は神田先生が目を丸くした。


「てっきり俺、もう両想いになってるのかと思ってた」
「そんな……。あたし、フラれてますから……」


その言葉を言った瞬間、思わずじわっと涙が溢れ出てきた。


人前で泣くなんて最悪……。


「そ、それじゃあ、失礼しますっ」


あたしは神田先生に涙を見せるのが嫌で、すぐに後ろを向くとその場を離れようとした。




「奏人……
 たぶん、君のこと好きだよ」



後ろから聞こえた声は、思いがけない言葉だった。
 
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