危険なキス
 
「………あった…」


神田先生の助言通り、ゴミ捨て場に行くと、ぽんと放り出されたあたしの靴。


それを見て、悲しいといよりは悔しさのほうが湧き上がった。


昔から、変な闘争心とか負けず嫌いな一面があり、こういったことはあたしには逆効果だった。

あたしは埃をはたいた靴に履き替えると、強気な目で真正面を見据えた。



「絶対、負けてなんかやらない!!」



それは、こんなことをした女子に言ったのか
それとも、勝手に自分を振り回した湯浅先生に言ったのか

自分すらも分からない。


だけど、このぶつけどころのない怒りを、言葉として叫ばずにはいられなかった。


「おもしれー子」


そんな様子を、校舎の窓から神田先生が見られていたなんて、気が付かなかった。




こんな嫌がらせ…。
どうせ、面と向かって何も出来ない連中。

それならとことん闘ってやろうじゃん。



先生の背負っている重いものも
いつか絶対に聞いてやる。



諦めてなんか……やらない。

 
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