危険なキス
 
「昨日、靴もなくなってたらしいな」
「……そ、れは……」


「嫌がらせ……受けてるのか?」


そう言った先生の瞳は、今までに見たことのないほどの切なげな瞳だった。


「そんなことっ……」
「他には?」
「え?」
「他には何かされたか?」
「え、あ、いえ……何も……」
「そうか……」


ほっと、安堵のため息をつく先生。

今までに見たことのない先生の姿に、あたしは戸惑いを感じていた。


「悪い……。俺のせいだよな」
「ちがっ……先生のせいなんかじゃありません!」
「俺との写真が原因だろ?」
「それは……」


確かにそうかもしれない。

あの写真が貼り出されるまでは、こんな嫌がらせなんか受けたことなかった。


だけど……


「先生のせいなんかじゃありません」


それだけは確かだった。
 
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