危険なキス
 
「中学までは、バスケ一筋で、女なんかまるで相手にしないようなやつだった。

 だけど高校に上がって、バスケ部に入って、毎日一人で遅くまで練習してると、同じように遅くまで練習している、バスケ部の女子がいたんだって。

 なんとなく声をかけることから始まって、一緒に帰るようになって、二人が恋愛感情になるには、そう時間はかからなかった」


高校生の頃の先生……。

同じ趣味を共通した同級生……。


過去のことなのに、想像しただけで切なくなる。


「だけど当時から、あいつがモテてたのはもちろんのこと。
 二人が付き合うことで、おもしろくないと思った女子がいっぱいいたんだよ」


なんとなく想像ついた。

今の自分に重なるから……。


たった一枚、ツーショットの写真を撮られただけで、嫌がらせを受ける日々。

付き合うとなれば、相当妬む女子はいただろう……。


「彼女は、ほんとまるで普通の子。
 勉強も運動も容姿も……。だからこそ、納得できない女子が多かった。

 そしてそれは……彼女へのいじめへと発展した」

「……」



「そして彼女は……



 自殺未遂を起こした……」


 
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