危険なキス
 
「話を聞かせて怖かったのは、
 君ももしかしたらすると、これからそういった嫌がらせが襲ってくるかもしれない。
 それが怖くなって、奏人から離れるんじゃないかと思ってさ」

「それはないです」


その言葉に、きっぱりと答える。


「あたし、そういったものに負ける気はしませんから」

「うん、そうだろうね」


強気に答えるあたしに、神田先生は面白そうに笑った。


「……ったく、俺はちょっとこうやって話しただけで、君の強さが分かったっていうのに、奏人は怖気づいて逃げやがってさ」


神田先生はため息をつくと、席を立ち上がった。


「だから君から、あいつに喝入れてやってよ。
 君の強さ、見せつけてやれ」

「………はいっ」


元気よく答えるあたしに、神田先生はニッと満足そうに笑う。

そして、


「あいつのことお願いな」


頭をポンと叩いて、教室を出て行った。


「ありがとうございます」


あたしは、すでに遠くなった神田先生の背中に、お礼をつぶやいた。
 
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