危険なキス
 
「お前って、ほんとウケんなっ……」


顔をあげた先には、あたしを見下ろして笑う湯浅先生。
その瞳は、いつもの優しげなものではなく、昨日見たような意地悪なもの。


「俺のこと、意識しちゃってんだ?」
「ひゃっ……」


湯浅先生は、あたしの顎をとらえると、ニヤリと笑った。

その途端、ドクンドクンと心臓が大きく高鳴る。


「あんまりバレたくなかったんだけどなぁ。見られちまったら、しょうがねえな」


この男は危険だ、とあたしの中の信号が言っている。
だけど、怖くて動けない。

 
< 34 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop