危険なキス
「お前って、ほんとウケんなっ……」
顔をあげた先には、あたしを見下ろして笑う湯浅先生。
その瞳は、いつもの優しげなものではなく、昨日見たような意地悪なもの。
「俺のこと、意識しちゃってんだ?」
「ひゃっ……」
湯浅先生は、あたしの顎をとらえると、ニヤリと笑った。
その途端、ドクンドクンと心臓が大きく高鳴る。
「あんまりバレたくなかったんだけどなぁ。見られちまったら、しょうがねえな」
この男は危険だ、とあたしの中の信号が言っている。
だけど、怖くて動けない。