危険なキス
教室に入ってからも、特別変わったことは起きなくて、いつも通り授業を受けていた。
そして物理の時間。
今日は実験もあるので、物理室へ移動となる。
あたしと麻衣子は、筆記用具と教科書類を持って一緒に移動をした。
チャイムが鳴って、先生が入ってくる。
号令がかかり、挨拶をして、先生の指示。
「それじゃあ、教科書の76ページを開いてください」
そう言われて、教科書を開いたときだった。
「…っ」
見るも無残に落書きされた教科書。
表紙は何もされていない。
だけど中身は、あちらこちらに中傷が書かれていた。
「くすくすっ……」
そんなあたしを見て、一つの机を囲っている数人の女子が笑った。
……ビンゴ。
その女子は、予想した通り自分のクラスの女子で、いつも先生のいる教卓を囲っている人たちだった。