危険なキス
普通の女子なら、ここで声をひそめて泣くのかもしれない。
いじめられていることが恥ずかしくて、泣き寝入りするのかもしれない。
だけどあたしは……
「……もー!あったまきたっ!!」
思わず、その場で叫んだ。
突然叫んだあたしに、クラス全員が注目する。
もちろん、先生もあたしを驚いた顔で見ていた。
「こんなことしか出来ないなんて、幼稚にもほどがあるんですけど」
「なっ……」
あたしは、書いた犯人はそこに座っている女子だと断定した。
目を合わせながら発言すると、その子が眉をひそめる。
あたしは席を立つと、その子の前に立った。
「こういうの。やっても意味がないと思うよ。
だってさー、やればやるだけ、先生があんたのこと、好きになる可能性が遠ざかっていくだけなんだから」
「な、なによそれ……」
「好きな人の好きな人をつぶしたところで、自分のこと好きになってくれるわけないじゃん。
そんなことも気づかないなんて、バカじゃないの?」
「はぁ!?」
ついに開き直ったのか、その女子も立ち上がった。
全クラスメイトが、あたしたちに注目をする。