危険なキス
あれから少しの間、眠ってしまったらしい。
今何時間目なんだろう……?
物理は2時間目。
時計を見たくても、カーテンがしまっているので分からなかった。
そろそろ戻らなくちゃ……
と思っていた矢先、保健室のドアが開く音がした。
思わず、起こそうと思っていた体を再び布団にくるませる。
そして……
「………柊さん」
カーテンが開くと同時に、今一番聞きたい人の声が聞こえた。
あたしは、もぞりと体を動かしたものの、振り向くことは出来なかった。
「紫乃」
「……」
今度は名前で呼ばれた。
あたしは静かに息を吸い込むと、口を開いた。
「……すみません……。
みんなの前で、あんなこと言ってしまって……」
「いや」
先生は、一切責めるようなことは言わなかった。