危険なキス
 
「先生の過去……神田先生に聞いたんです」

「ああ……。みたいだな」


先生も、そのことは神田先生から聞いたらしい。
とくに驚くことはしなかった。


「それで……どうしても言いたいことがあって……」
「うん」


ギシッとベッドが沈んだ。

先生が、ベッドの脇に腰をかけたようだ。


ドキッとしつつも、あたしは言葉を続けた。


「あたしを……その彼女と一緒にしないでください……。
 あたしはそんなに弱くなんかないっ……」


そんなことを言いながら、涙が溢れ出てくる。

説得力ナシ。
まさにその言葉が当てはまった。

だけどどうしても、一緒にはされたくなかった。


「いじめとか嫌がらせとか……そういうの、気にするタチじゃないし……
 何かされても、やり返すくらいの力はありますっ」

「……うん…」


先生はあたしの頭を撫でた。

そのぬくもりが嬉しくて、余計に涙が溢れ出てくる。
 
< 349 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop