危険なキス
 
「もうお前の前で作んのはやめた。これから素のほうで対応するから」
「……素…って……」


「こういうこと」

「きゃあっ……!」


湯浅先生は、あたしの耳をとらえると、カリッと耳たぶを甘噛みをした。


「いいねえ、その純情ぶり。
 これから家庭教師が楽しくなりそうだわ」

「……」


固まるあたしに、新しいおもちゃを見つけたかのように楽しそうに笑う湯浅先生。



この日から
家庭教師の日が、憂欝の日に変わった。
 
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