危険なキス
「だからっ……、同じことを繰り返すのが嫌という理由で逃げないで。
あたしとその子は違うからっ……!」
「紫乃……」
先生はあたしの名を呼んだ。
その瞬間、ビクッと体が震えた。
「こっち向けよ」
「だ、だめですっ……」
今向いたら、涙でぐしゃぐしゃな顔を先生に見せてしまうことになる。
あたしは布団を顔までかぶろうとした。
だけど……
「いいから向け」
「あっ……」
その手をとられ、無理やり先生のほうへ向かされてしまった。
先生と目が合った瞬間、カァッと顔が熱くなる。
「すげぇ泣き顔。
説得力ねぇな」
先生は、あたしの顔を見て、呆れたように笑った。