危険なキス
「俺の外見だけで寄ってくる女。
こういう女が、自分の気に入らないやつを陥れたり、いじめたりする。
だったら逆に俺が、遊んでやろうと……。
好きにならせて、散々もてあそんで捨ててやる。
そんな最低な答えにたどりついたんだよ」
「……」
確かに先生の言っていることは最低だ。
むちゃくちゃだし、道理に合わない。
だけど、先生がそうしたい気持ちも分からなくもなかった。
「だから誰にも本気で好きにならないって決めてた。
毎日、適当に気が向いたやつを相手してれば、って……。
もちろん、結婚願望とかもさらさらねぇから、就職もする気もない。
自分が、そのときだけ食べていける金さえあればいい、ってな」
先生が、いい大学に出ているのに、就職していない理由。
それが今、ようやく分かった。
いい大学に入ったのは、女をバカにするため。
就職しないのは、その必要性を感じなかったため。
だからあたしの前に、
ただの家庭教師として現れたんだ……。