危険なキス
 
「なんで泣くんだよ……」
「だって……嬉しっ……」
「……ったく…」


先生は体ごとこっちへ向き、あたしを抱き寄せた。


「ありがとな。
 こんな俺を好きになってくれて」

「……っ」


その言葉に、ぶんぶんと首を振る。


それはあたしの台詞だ。

こんな可愛げのないあたしを好きになってくれて……。


「紫乃」


先生があたしの名を呼ぶ。

見上げると、大好きな人の顔があって……



「愛してる」



最高の言葉とともに、キスを落とした。


 
あたしも誰よりも

先生を愛してる―――。

 
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