危険なキス
「柊っ……」
そんなとき、帰りの支度をしていると楠木に声をかけられた。
「……何?」
正直、楠木からこんなふうに声をかけられるのはあれ以来初めてだった。
やっぱり別れた、となると気まずさは残って、前のようにはいかなかったから。
「あのさ……ちょっと話したいんだけど………時間ある?」
「……うん」
あたしと楠木は、教室から人がいなくなるまで、お互い別々に待機していた。
そして全員が帰ると、あたしと楠木だけになる。
あたしは楠木から話し出されるのを待つことにし、自分の席で勉強をしていた。
ようやく覚悟が決まったのか、楠木は立ち上がると、あたしの前に来た。
「一つ……聞きたいことがあるんだ」
「……うん」
来た…
そう思った。