危険なキス
気が付けば、あたしは楠木のことが好きになってた。
いつからか、と言われればあまり覚えていない。
成績優秀というレッテルの中で、あたしに親しく声をかけてくる男子はあまりいなく、あたしは高校3年になるまで、これといって親しい男子はいなかった。
だけど3年になって、楠木と同じクラスになり、彼はあたしに全然臆さず自然に話しかけてくる。
そんな中で、あたしは気が付けば、彼に惹かれ、毎日が彼と話せる時間を心待ちにしているようになった。
いわゆる、本当にありふれた好きのなりかただ。
「しーの!」
4時間目が終わると、早々にあたしのところへやってきた麻衣子。
この子とはクラスで一番仲のいい女子で、毎日一緒にいることが多い。
あたしは比較的、無口でとっつきにくいタイプだけど、麻衣子は正反対の明るく可愛らしい女の子。
正反対のあたしたちだけど、それが引き寄せあったのか、すぐに打ち解けあったのだ。