危険なキス
4章 臆病
「紫乃、今日はお昼、中庭で食べよ?」
午前の授業が終わり、待ちに待ったお昼休み。
お弁当袋を持った麻衣子が、あたしの席に来た。
「いいよ。じゃあ、購買で何か買ってくるから待ってて」
「うん!」
あたしは、適当にパン2つとカフェオレを買って、麻衣子と一緒に中庭へ出た。
「んー!イイ気持ちー!」
外に出るなら、大きく伸びをする麻衣子。
確かに今日は、気持ちいいくらいの晴天。
6月下旬となる梅雨の今、こうやって晴れた日は貴重だ。
「でもちょっと暑いね…」
「まあ、木陰なら大丈夫!」
少しだけチリつく太陽を避けるように、あたしたちは木陰にあるベンチへ座った。
「いい場所ゲットできたね!」
「さすがに、もう外で食べようと言う生徒は少ないんじゃない?」
「そうだよねー。だからこそ、外に誘ったんだし」
麻衣子は、何か思うことがあるのか、人がいない場所をあえて選んで誘ったらしい。
あたしは特別問い詰めたりせず、麻衣子が切り出すのを待っていた。