危険なキス
「そっか」
あたしはストローを吸いながら、俯きながら答える。
吸っているんじゃない。
ストローを噛んでる。
「今までちゃんと話したこととかなかったから、気にしたことなかったんだけど、最近紫乃を通して話すことも多くなってね。
この前、二人で映画見に行ったときに、確信しちゃって……」
「……」
この前…
二人で映画……。
そうだ。
あたしが二人で行ってきな、と後押ししたんだ。
「それで…さ、
紫乃、楠木くんと仲いいでしょ?
だからいろいろ協力とか……してもらえないかな……?」
そう言って、不安げな表情であたしを見つめる麻衣子。
同性ながらも、そんな表情の麻衣子は可愛いと思った。
自分には出来ない顔。
だけどそれは、麻衣子が悪いわけじゃない。