危険なキス
「紫乃ちゃん、抱き心地最高だね」
「ちょっ、離して!離せっ!!」
「そうそう。もっと素を出して、肩の力抜かねぇと」
「え?」
湯浅先生は、腕の力をゆるめるとぽんぽんと背中を叩いた。
「そんな気ぃばっか張ってたら、受験どころじゃなくなんぞ」
「あ……」
もしかして、今からかったのはあたしの為……?
確かに、恋にうつつぬかして、勉強どころじゃなくなりそうだった。
「お前が落ちたら、俺の評判も落ちる」
「……」
やっぱり自分の為か……。
あたしは「はあ…」とため息をついた。