危険なキス
その日の授業は、まるで機械のように淡々と受けていた。
黒板に書かれたことと、先生の言葉をまんまノートにつづる。
きっと理解なんてしてない。
だけどあたしは、ただ無心にノートに書きつづっていた。
お昼は麻衣子と二人きりだった。
「楠木と食べないの?」
と聞いたら、
「お昼くらい、紫乃と二人で過ごしたいよ」
って言われた。
だけど、麻衣子から話されることは、楠木のことばかりで、あたしは終始作り笑いを向けていた。
「紫乃にも彼氏が出来たら、ダブルデートとかしたいね!」
なんて、屈託なく笑顔を向けて提案する麻衣子。
あたしに彼氏なんて
きっと一生出来ないよ……。