危険なキス
いつもの帰り道。
いつもと変わらない風景。
だけどなぜか、いつもよりくすんだ世界に見えて、足取りが勝手に早くなった。
外にいるのが嫌。
早く一人になりたい。
気が付くと駆け足になっていて、駅にはあっという間に着いた。
「……はぁ…」
改札を通って階段を下りて、あたしはなるべく誰にも会いたくなくて、ホームの一番端へ歩いて行った。
だけど……
「…っ」
それがいけなかった。
「あははっ、もう拓也おもしろいっ……」
「だろ?でもこれがマジ話でさっ……」
そこには、楽しそうに笑いあう麻衣子と楠木の姿があった。