危険なキス
 
「……はあ…」


それに気づいたのか、先生はわざとらしいため息をついた。


「お前、全然話聞いてねーだろ」
「あ、いえっ……」
「じゃあ、これ解いてみ」


先生が指さすのは、今教えられた数学の1問。
あたしはすぐに取り掛かったけど、結局全然分からなかった。


「ったく……」
「すみません……」
「オンオフ、切り替えんじゃなかったっけ?」


先生は、肩肘を机について、あたしの顔を覗き込んだ。
 
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