Produce!〜高校デビューしませんか?〜
ヒラリと舞うプリーツスカートが見えた。
その子は、昨日見た顔付きで。
「あ、大樹。来たんじゃない?」
ドクンーーと、彼の心臓の音が聞こえて来そうなくらい、彼は肩を強ばらせて柚花を見た。
柚花は私たちにすぐに気がついた。
「大樹…」と消えるような声を出して、近づいてくる。
「…あの。何か?」
なぜか柚花は私に問いかける。
短めボブに、ナチュラルメイク。華奢とは言えないけれど、少しふっくらした可愛らしい女の子。
ーー柚花が、いる。
柊くんをチラリと見ると、顔を真っ赤に染めて、口を金魚のようにパクパクさせているだけだった。
こりゃ、ダメだ。
そう思った私は、強行手段に出る。
「あ、話があるのは大樹のほう、で、昨日誤解してたみたいだけど、私は彼女じゃないから」
「え?…そうなの?」
「うん。なんだろ。大樹の先生みたいなもの」
あはは。と誤魔化すように笑って柊くんの方を振り向いた。
彼は情けないくらいに顔が真っ赤だった。