Produce!〜高校デビューしませんか?〜
玄関で待ってるという寺島創。
周りをグルっと見渡してみたけれど、どれも同じような格好で全くどれが“寺島創”なのか分からない。
柊くんはなぜかイソイソと携帯を手にとり電話をし始めた。
ーー柚花との約束だろうな。
ぼんやり考えながら、またもう一度グルっと周りを見渡す。
やはり、誰が“寺島創”なのか分からない。
とりあえず、玄関で人がいなくなるのを待とうと、下駄箱に体を預けて周りを見ていると、肩をポンっと叩かれた。
寺島創だ!と、思ったけれど、立っていたのは柊くんだった。
「な、何してんの?柚花と約束あるんでしょ?早く行きなよ」
「断った」
「はぁ?」
「だって、寺島先輩って人が気になるし、真衣一人じゃ不安でしょ?」
ニコニコして、私の心配をしているように見せかけて、実は自分が寺島創を見てみたいという気持ちがあるのは一目瞭然だった。
証拠に彼はキラキラと子どもが大好きなお菓子を目の前にしているような、そんな目をしている。