Produce!〜高校デビューしませんか?〜
ジリジリと、私に寄ってくるその男は、とても不気味だった。
「ひっ」と声をあげた瞬間、彼は私の手を掴んでとても静かな声で言った。
「朝比奈 真衣さん。俺を、変えてください」
じっとりと汗ばんだ手が、とても気持ち悪くて即座にパッと手を離す。
「あの…寺島 創…先輩ですか?」
先輩に掴まれてじっとりとした手をハンカチで拭いていると、隣で柊くんがまた目をキラキラとさせて先輩に問いかけた。
先輩は、静かに頷いた。
「真衣、この人だって」
「隣にいるんだから、全部会話聞こえてるし。分かるから」
私に突き放された柊くんは撫で肩をもっと下げて項垂れた。
ーー全く。大樹は好奇心が勝りすぎだ。
「あの、朝比奈さん。俺をイケメンに変えてほしいんです」
「…あの、先輩。事情がよく分かりません。なんで変わりたいんですか?なんで私を知っているんですか?」
先輩は「あぁ」と相槌を打ってから口を開いた。