Produce!〜高校デビューしませんか?〜
先輩の目は優しいのに、その中には生気というものが感じられない。
そんな目は私の体を硬直させた。
「朝比奈さん、手、離してもらっていいかな?」
「え?…あっ」
先輩の声で我に返る。
私の手は先輩の髪の毛をあげてそのまま時が止まっていた。
「…どうかな?俺、変われるかな?」
「あ、はい。変われると思いますけど…どうして、そんな必死なんですか?」
失礼なことを聞いたかな。と、思ったけれど、あの生気のない目と、変わりたいという理由がただ知りたかっただけだった。
それなのに、先輩は「今度ね」と言って教えてはくれなかった。