Produce!〜高校デビューしませんか?〜
「先輩?」
お腹を抑えて大声で笑う先輩は、やっぱり初めて会った時のような生気のない目はしていなかった。
何かを吹っ切れたような、そんな姿になぜかホっとする。
「あはは…いや、ごめん。殴り込みなんてしないから、安心してよ」
笑いすぎて涙が出たその目を抑えて、先輩はオンザスイーツを見つめた。
私たちも堪らずその目を追う。
殴り込みじゃないのなら、一体先輩はここに何をしに来たのだろう。
先輩と結婚式会場は、どう考えても繋がらない。
「俺さ…引きこもりだったんだよね」
先輩が静かに口を開く。
その淡々とした言葉をただ黙って聞いていた。
「ちょっと、中学のとき色々あって、部屋から出てこなくなったんだ。
そんな時、拍車をかけるように両親が離婚…」
よくある話だろ?
先輩は爽やかなのに、悲しい目をしている。
その目に吸い込まれてしまいそうでーー…
声を出すことさえ出来なかった。