Produce!〜高校デビューしませんか?〜



ポンポンと肩を叩かれた。
横を振り向くと、柊くんが私に耳打ちする。


「あんな目立つ人、見たことなくない?」


確かに、こんな王子がいたら絶対に気が付く。
柊くんの素顔を発見する前、自慢じゃないけれど、1年3ヶ月イケメンを探して校内を歩いていたのだからーー



「ねぇ、王子。王子はずっとこの学校にいたの?」

「え?あはは。王子?いいね、そのあだ名」


王子は遥に近付いていた顔をパッとこちらに向けて、私が一方的につけたあだ名をとても喜んでいた。



「いや、だから…」

「俺、入学と同時に留学制度使ってオーストラリア行ってたから」


王子の言葉に「あぁ」と、みんな納得した。
他の学校にあるのか分からないけれど、この学校は申告すると留学制度が使える。
これも特殊なんだろうけど、もちろん入学と同時に留学する人は実は少なくない。


「そんで、3日前に帰ってきたら、なんかパッとしないで勉強ばっかしてる人ばっかだしさ。
そしたら、クラスの女子が真衣さんの話ししてたんだよね」


あ、俺は1年C組です。
と、付け加えた王子はまた遥に目を移す。
遥はほとほとうんざりといった表情で小説から目を離さない。




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