Produce!〜高校デビューしませんか?〜
自分のノートを横に並べて、彼のノートを丁寧に写す。
放課後の教室は、好き。
静寂した雰囲気が、好き。
…ただし、もさ男じゃなく、イケメンとの放課後の教室に限るけど。
「…暑いね、窓開けていい?」
彼の落ち着いた声が耳に届いて「うん」としか返せなかった。
サーっと一度、風が通る。
心地よい風が肌をかすめて、とても気持ち良かった。
「最近暑くなって来たよね」
私の言葉に彼は読んでいた小説から目を離してこちらを見たけど、分厚い眼鏡の所為でやはり表情は分からなかった。
「そうだね」
7月上旬。
梅雨も終わりを告げて、本格的な夏の訪れを感じるこの季節。
ーーなのに、どうして私の隣にイケメンがいないの。
そんな思いもあり、ノートをとる字も自然と汚くなった。