君が好きだから嘘をつく
健吾のアパートに着けば、待てないという勢いで私をベッドへと誘導する。
来ている服も愛撫のように優しく脱がされていく。脱いだ肌へ唇を寄せながら。時々甘い痛みも残しながら・・

「俺の」

私を抱きしめながら熱い唇で耳元にささやく健吾の言葉がたまらなく私を酔わせる。
初めて抱かれた時に健吾が発した言葉をまた聞いて、あの時と同じ様に私も答える。健吾が嫉妬と戦っているから。

「うん・・全部健吾の」

そう心から思うから私の身体の全てを健吾に預ける。
こんなにも愛おしくて甘い気持ちになれるなら、全てを健吾にあげたい。
そう思えるくらいに甘いキスと温もりを健吾がくれる。

「・・気持ちいい」

思わず声に出てしまう位に甘くて優しくて、時に強引な愛撫。でもそれすらも身体は応えてしまう。
私の発する声に健吾は切なく淫靡な視線を私の瞳にからませる。捕らえた瞳を離さず、また唇を食む。
肌に伝わる彼の温度と私の温度が重なって、私達は一つの熱になってとろけていった。


気だるい身体を優しく包まれて、さっきとは違う温もりに包まれる。肌と柔らかい毛布の感触は私好みに馴染んでくれる。
そうして心地いい眠りに落ちそうになった時、健吾が背中に回した両手に少し力を入れた。

「ここにあるから」

ふいに言われて夢心地から少し意識が戻る。

「・・ん?」

健吾の肩に預けていた頭を上げて健吾の顔を見ると、柔らかい笑みを見せて

「楓と俺の幸せはここにあるよ」

そう言ってまた私をギュッと抱きしめた。そしておでこに唇を寄せて、

「そばにいても離れていても、いつも俺達の幸せはここにあるから。それはずっと変わらない」

甘い愛の告白のように言ってくれた。

「うん」

嬉しくて胸がつまってその一言しか答えられず、また健吾の胸元に抱きついて何度もうなづいて返した。
ずっとここにいたい。例えそばにいられない距離があっても必ずその間には幸せが挟まれているから、私はそれを大切にする。
やっと2人で見つけた幸せだから、それをいつまでもずっと大切に守っていきたい。  

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