君が好きだから嘘をつく
2人の休日
「おはよう、着いたよ」

健吾のお迎えコールで急いで荷物を持って外に出る。
車のそばまで行くと、運転席で健吾が笑顔を見せた。
楓は助手席側のドアを開け、健吾に声をかける。

「おはよう、ありがとうね」

「出かけるのは何か久しぶりだな。じゃあ~行くか」

「うん!」

助手席に座るとやっぱり健吾との距離が近く感じられて嬉しい。
車の中はタバコの匂いがして、それすらも愛おしかった。
これが他の人のものだったら不快を感じてしまう。やっぱり特別なんだ。

「朝メシ食べてきた?」

運転しながらこっちに視線を寄こす。

「うん、軽くね」

「そっか。俺タバコ買いたいからコンビ二寄っていい?」

「いいよ。私も飲み物買いたい」

5分程走ったところでコンビニに着き車を停めた。
2人で店内に入りお互いに飲み物を選ぶと、健吾は私のミルクティを手にする。

「あとは?何か買いたい物ある?」

「ううん、大丈夫」

私の返事を聞くとレジまで行き、タバコと一緒に会計を済ませた。

「ありがとう」

「うん、俺一本吸っていくから楓は先に車に乗っていて」

「わかった」

健吾から車のキーを受け取って、車に戻り助手席に座ったところでスマートフォンの着信音が鳴った。
バッグから取り出して見てみれば、表示されているのは咲季先輩の名前。

「もしもし」

「あ、楓おはよう。今日暇かな?暇だったら新しくできたショッピングモールでも行かない?」

誘われて思い出す。
そうだ!咲季先輩に健吾と海へ行くってまだ言ってなかったんだ。
せっかく誘ってくれたのに、先輩ゴメン!

「咲季先輩ごめんなさい!言い忘れちゃいましたけど、今健吾と海に行くところなんです」

「えっ!そうなの?いつの間に?いいよ、いいよ。また今度誘うからさ。それよりもよかったじゃない~楽しんで来るんだよ」

咲季先輩と話していると健吾が戻ってきた。

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